未来に胸を張れる家 ブレインホーム

地球温暖化Ⅳ

投稿日:2018年07月21日

対 策

地球温暖化への対策は、その方向性により、温暖化を抑制する「緩和」(mitigation)と、温暖化への「適応」の2つに大別できる。

地球温暖化の緩和策として様々な自主的な努力、および政策による対策が進められ、幾つかはその有効性が認められている。

現在のところ、その効果は温暖化を抑制するには全く足りず、現在も温室効果ガスの排出量は増え続けている。

しかし現在人類が持つ緩和策を組み合わせれば、「今後数十年間の間にGHG排出量の増加を抑制したり、現状以下の排出量にすることは経済的に可能である」とされる。

同時に、「今後20–30年間の緩和努力が大きな影響力を持つ」「気候変動に対する早期かつ強力な対策の利益は、そのコストを凌駕する」とも予測されており、現状よりも大規模かつ早急な緩和策の必要性が指摘されている。

地球温暖化への対応の動き

地球温暖化の影響は上記のように地理的にも分野的にも広い範囲におよぶため、それに対する対策もまた広い範囲におよぶ。

根本的な対策として温暖化ガスの排出量の削減などの緩和策の開発・普及が進められているが、世界全体ではまだ排出量は増え続けており(AR4)、現状よりもさらに大規模な緩和を目指した努力が求められている。

世界の発電設備容量と発電量の変化に占める再生可能エネルギーの割合再生可能エネルギー#利用状況と見通し

エネルギー:

省エネルギー:

  • 自動車の燃費や窒素酸化物の排出量に対して各国で規制が強められている。
  • 家電製品などの消費エネルギー量に対して各国で規制が強められている。

論争

地球温暖化に関しては、その原因影響対策の効果などについて懐疑論も見られる。

影響は広範囲に及び、対策もまた大規模になると予測されているため、その具体的な緩和策に関する議論も多い。

温暖化人為説に関する議論

地球温暖化に関する人為的影響については、下記のような異論も存在する。

現在では、近年の温暖化に対する人為的影響を否定する国際的な学術組織は無いとされるが民間レベルでの議論は各国で続いている。

  • 二酸化炭素を主因とする温暖化を疑う意見(気温の変化の方が先に起こっている、水蒸気が原因である、など)
  • モデルと実際の気候の不整合を問う意見。
  • 太陽活動の影響、宇宙線の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などが原因である。
  • 地球は温暖化でなく寒冷化するはずである。
  • 南極の一部だけは気温が上昇していないから、水蒸気が増えてもそこに降雪が集中するはずだ。
  • 予想に用いる気候モデルの信頼性が十分でない。
  • 二酸化炭素のミッシング・シンクなど、現在では解決された不整合性を論拠にした主張。
  • 一部国家や特定勢力による陰謀である。
  • 科学的合意はまだ得られていない。

このような懐疑論に対しては、各国で下記のような現象や動きもみられる(地球温暖化に対する懐疑論#各国における状況を参照)。

  • 一部のセンセーショナルな異論を掲載した書籍が売れる一方、これに対する反論が行われ、公的機関が質疑応答集を掲載する(日本)
  • 世論調査で、支持政党によって意見が大きく異なる(米国)
  • 科学的手法に基づかない一部の懐疑論に対し、議会が抗議の意志を表明する(欧州)

緩和策、技術に関する議論

  • 再生可能エネルギーは最も大きい効果を持つ緩和手段の1つとされ、既に国によってはエネルギー供給量の数割を占めている。
  • その一方、その短所のみを取り上げて実用性を否定しようとする意見も見られる。
  • 原子力発電は温暖化の緩和策の一つに挙げられ、その活用を進める動きがある。
  • その一方で、汚染事故や将来のエネルギー源としての効率の低下、核拡散やテロの危険性などの見地から批判的な意見もある。
  • 例えば、地球温暖化問題そのものは「存在する」とするアル・ゴアも、原子力発電に対しては消極的である
  • 炭素固定手段としての森林の効果を否定しようとする意見が見られる。

排出権取引に関する議論

  • 途上国にはCO2排出規制がない。先進国が排出権取引逃れのために途上国に工場を移せば、CO2は削減できない。
  • 排出権取引は将来の排出枠を巡りすでにバブルの様相を呈している。

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地球温暖化Ⅲ

投稿日:2018年07月20日

影響

地球温暖化の影響に関しては、多くの事柄がまだ評価途上である。

しかしその中でもAR4、およびイギリスで発行されたスターン報告が大きな影響力を持つ報告書となっている。

地球温暖化による影響は広範囲に及び、「地球上のあらゆる場所において発展を妨げる」(AR4)と予想されている。

その影響の一部は既に表れ始めており、IPCCなどによるこれまでの予測を上回るペースでの氷雪の減少などが観測されている。

AR4 WG IIによれば、地球温暖化は、気温や水温を変化させ、海水面上昇、降水量の変化やそのパターン変化を引き起こすとされる。

洪水旱魃猛暑ハリケーンなどの激しい異常気象を増加・増強させ、生物種の大規模な絶滅を引き起こす可能性などが指摘されている。

大局的には地球温暖化は地球全体の気候生態系に大きく影響すると予測されている。

個々の特定の現象を温暖化と直接結びつけるのは現在のところ非常に難しいが、統計的には既に熱波や大雨等の極端な気象現象の増加が観測されており、今後さらに増えると見られている

こうした自然環境の変化は人間の社会にも大きな影響を及ぼす。

真水資源の枯渇、農業漁業などへの影響を通じた食料問題の深刻化、生物相の変化による影響などが懸念されており、その影響量の見積もりが進められている。

AR4では「2–3°Cを超える平均気温の上昇により、全ての地域で利益が減少またはコストが増大する可能性がかなり高い」と報告されている。

スターン報告では、5–6°Cの温暖化が発生した場合、「世界がGDPの約20%に相当する損失を被るリスクがある」と予測し、温室効果ガスの排出量を抑えるコストの方が遙かに小さくなることを指摘している。

日本では国立環境研究所などによる影響予測が進められており、豪雨の増加、農業用水の不足、植生の変化、干潟や砂浜の消滅、地下水位の上昇などによる被害の増大の予測が報告されている。

特に、農業では米がとれなくなり、漁獲量ではアワビやサザエ、ベニザケが減少するなどの甚大な被害が予想される。

寒害の減少、北日本における米の生産向上など一部では利益も予想されるが、被害が大幅に上回ると見られる。

地球温暖化の影響#日本における予測内容を参照。 例えば日本南部ではデング熱が流行する危険性が増し、北海道東北地方ではゴキブリなどの害虫が見られるようになる。

気温への影響

気候モデルによる今後の気温の上昇予測(

2005年から過去50年間の、世界の山岳氷河の平均の厚さの推移

人為的な温室効果ガスの排出傾向に応じて、さらに気温が上昇し、下記のような現象が進行することが懸念されている。

  • 1990年から2100年までの間に平均気温が1.1–6.4°C上昇。これは過去1万年の気温の再現結果に照らしても異常。
  • 北極域の平均気温は過去100年間で世界平均の上昇率のほとんど2倍の速さで上昇した。北極の年平均海氷面積は、10年当たり2.1%–3.3%(平均2.7%)縮小している。
  • 陸域における最高最低気温の上昇、気温の日較差の縮小。
  • 温暖化が環境中からの二酸化炭素やメタンなどの放出を促進し、さらに温暖化が加速する(正のフィードバック効果)。
  • サンゴ礁の白化(サンゴ礁の劣化)による、砂礫の供給能力の低下。サンゴ礁によってできている島の水没。

気象現象への影響

北大西洋における熱帯性低気圧の観測数。青:熱帯性低気圧、

気象現象への影響は一括して「異常気象の増加」、気候への影響は「気候の極端化」と表現されることがある。温暖化に伴って気圧配置が変わり、これまでとは異なる気象現象が発生したり、気象現象の現れ方が変わったりすると予想されている。たとえば下記のような変化が懸念されている。

  • 偏西風の蛇行、異常気象の増加。日本周辺の気候にも大きな影響を与える可能性。
  • アメリカ南東部・東部の海水温上昇により、竜巻の発生域が南東部や東部に広がる。
  • 暑い日・暑い夜が増加し、全体的に昇温傾向となる。高温や熱波・大雨の頻度の増加、干ばつ地域の増加、勢力の強い熱帯低気圧の増加、高潮の増加。

降水量に関しては異論もあるものの、たとえば下記のような影響が懸念されている。

海水面の上昇[編集]

過去約120年間の海水面の推移(地質が安定している世界23地点の平均)

気温の上昇により氷床氷河の融解が加速されたり海水が膨張すると、海面上昇が発生する。

これに関しては下記のような予測や見積もりが為されている。

  • ここ1993-2003年の間に観測された海面上昇は、熱膨張による寄与がもっとも大きい(1.6±0.5mm/年)。
  • ついで氷河と氷帽(0.77±0.22mm/年)、グリーンランド氷床(0.21±0.07mm/年)、南極氷床(0.21±0.35mm/年)とつづく。
  • 日本沿岸では(3.3mm/年)の上昇率が観測されている
  • 第4次報告書(2007)では、最低18 – 59cmの上昇としているが、これは氷河の流出速度が加速する可能性が考慮されていない値である
  • AR4以降の氷床等の融解速度の変化を考慮した報告では、今世紀中の海面上昇量が1〜2mを超える可能性が指摘されている海面上昇も参照)。

これにより、下記のような影響が出ることが懸念されている。

  • 浸水被害の増加、低い土地の水没。オセアニアの島国ツバルヴェネツィアの歴史的建造物の水没、等々。
  • 汽水域を必要とするノリカキアサリなどの沿岸漁業への深刻なダメージ。
  • 防潮扉、堤防、排水ポンプなどの対策設備に対する出費の増加。
  • 地下水位の上昇に伴う地下構造物の破壊の危険性、対策費用の増加。
  • 地下水への塩分混入にともなう工業・農業・生活用水への影響。

海水温・海洋循環への影響

地球規模の気温上昇に伴い、海水温も上昇する。これにより、下記のような影響が懸念されている。

  • 生態系の変化。
  • 水温の変動幅拡大に伴う異常水温現象の増加。太平洋熱帯域でのエルニーニョ現象の増強。
  • 海流の大規模な変化、深層循環の停止。およびこれらに伴う気候の大幅な変化。

生態系・自然環境への影響

温暖化の影響は生態系にも大きな影響を与えることが懸念されている。

  • 二酸化炭素の増加による生物の光合成の活発化。
  • 生物の生息域の変化。
  • 生物種の数割にわたって絶滅の危機。
  • サンゴの白化や北上(北半球)・南下(南半球)。
  • 寒冷地に生息する動物(ホッキョクグマアザラシなど)の減少。
  • 日本においては、ブナ林分布域の大幅減少や農業への深刻な影響。

社会への影響

人間の社会へも下記のように大きな影響が出ることが懸念されている。

  • 気象災害の増加(熱帯低気圧、嵐や集中豪雨)に伴う物的・人的・経済的被害の増加
  • 気候の変化による健康への影響や生活の変化
  • 低緯度の感染症マラリアなど)の拡大
  • 雪解け水に依存する水資源の枯渇
  • 農業、漁業などを通じた食料事情の悪化
  • 永久凍土の融解による建造物の破壊
  • 日本では、60%の食糧を輸入しているため、国外での不作や不漁、価格変動の影響を受けやすく、食糧供給に問題が生じることが予想されている。

首都直下地震…もし「震度7」の地震で、津波が発生したら?

投稿日:2018年07月20日

首都直下地震…もし「震度7」の地震で、津波が発生したら?

6月18日(月)に発生した大阪北部地震。

気象庁の発表によれば、揺れの強かった地域では、1週間程度は、最大震度6弱規模の地震が発生する可能性があるとのこと。

引き続き注意を呼びかけています。改めて、大きな地震が起きた場合の対処法を確認しておきましょう。

6月18日(月)に発生した大阪北部地震。
気象庁の発表によれば、揺れの強かった地域では、1週間程度は、最大震度6弱規模の地震が発生する可能性があるとのこと。
引き続き注意を呼びかけています。改めて、大きな地震が起きた場合の対処法を確認しておきましょう。

災害大国である日本の中でも、東京の街は「高さ」に気をつけなければいけない場所だと言われています。

例えば東京で一番高い場所は、東京スカイツリーの展望台。
そして一番低い場所は六本木駅の都営大江戸線のホーム……この差は500m近くもあり、地震が起きたときにどの高さに居るかによってとっさの対処法が変化してくるのです。

今回は、「首都直下地震」が起きたときに特に危ないと言われている「海抜ゼロメートル地帯」……「LEVEL 1」で起こりうる災害について。

もし、海抜ゼロメートル地帯で震度7の地震が発生したら……。TOKYO FMの番組「シンクロのシティ」で以前放送した、災害時の対処法を紹介します。

高さ1m、海面とほぼ変わらない高さの地区や、海面よりも低い地区「海抜ゼロメートル地帯」。

災害が起きたとき、危険だとされているこの地域では一体どんなことが起こってしまうのでしょうか? まずは、首都直下地震の被害想定からおさらいしておきましょう。

◆もし、首都直下地震が起きたら

■そもそも首都直下地震というのは、ひとつの地震のことではなく、関東地方で発生する可能性のある、震源や地震の規模が異なる複数の地震の総称

■主に被害想定が発表されているのが、首都機能への影響が最大の「都心南部直下でM7クラスの地震」が起きた場合

■政府の中央防災会議の想定では、発生する確率は今後30年間で70%

■東京都区部のほとんどが震度6強、一部では震度7

■犠牲者は2万3,000人、その7割が火災で命を落とす(阪神淡路大震災の死者行方不明者6,437人、8割が圧死)

■東京湾で津波が発生する可能性あり、東京都想定によると、最も高い場合ではおよそ3m程度

色々ある中でも心配されるのが、東日本大震災でも多くの方の命を奪った「津波」。

ただ、東京では津波よりも台風や低気圧による「高潮」のほうが、波自体の高さは高いと想定されています。
高潮被害は昔から起きているので、東京都では5mくらいまでを想定して堤防整備をおこなっています。
また東日本大震災を受けて、堤防をより高く、厚くする整備なども実施しているのです。

◆海抜ゼロメートル地帯の危険とは?

しかし、地震の揺れで堤防や防潮堤が決壊したり、津波が川を遡上するのを防ぐ水門が閉じないことも考えられます。

そのときに甚大な被害を受けるのが、海抜ゼロメートル地帯。
例えば東京で最も被害が大きいとされるのが荒川沿いの江戸川区や江東区、墨田区、葛飾区。中でも江戸川区は7割が海抜ゼロメートル。
これらの荒川沿いで浸水が想定されるエリア内にはおよそ150万人が生活しています。
もし、堤防や護岸が決壊した場合……洪水が発生して、場所によっては深さ2mも水没することに。
地下街や地下鉄にも当然、大量の水が流れ込んでいきます。

防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんによると、

例えば東西線の東陽町駅近くの地上車庫への出入り口や、南砂町駅の東にある出入り口など、地下鉄が地上に出る場所から水が入ってくる危険も。
津波が来なかったとしても、満潮のときに堤防が地震の揺れで崩れたりしたら、防水扉はあったとしても地下に簡単に水が入ってきてしまう可能性があるのです。
その水は、地下鉄を水路として、都内のあちこちに流れ込んでいくことも考えられます。

◆地震が起きたときのために考えておくこと

では海抜が低いエリアで生活する人達はどんなことを心がけておけばいいのか。

そのひとつが、浸水が想定される範囲から離れたところに避難する=「広域避難」です。

家族と近くの避難場所で落ち合う約束をしている方もいると思いますが、

そこが海抜ゼロメートル地帯で浸水するかもしれないという可能性を考え、避難場所を事前に複数、家族と決めておくといいでしょう。
浸水した地区には水が引くまで長く帰れない可能性も。海抜ゼロメートル地帯で生活している方は、それも含めて備えを見直したほうが良さそうです。

また、災害が起こったときの商業施設の対応も確認しておきましょう。

例えば、湾岸エリアの東雲にあるショッピングセンター「イオン東雲店」の災害時の対応はこちら。
イオンリテール株式会社 南関東カンパニー人事総務部 総務グループの、塙 智明さんに伺いました。

「東雲店では海に近く、海抜1メートルほど。埋め立て地も多く、液状化の懸念も。近隣の高層ビル等では大きな横揺れが続くことが予想されます。

特に近隣はオフィスや工場も多く、帰宅困難者も多く発生すると思われるので、東雲店では店舗で液状化の懸念もあり、屋上への避難を第一に考えている。
店内放送を実施して、揺れがおさまった段階で被害状況を確認し、そのあと避難誘導を行います。
イオン東雲店は2階建てで、屋上の駐車場は高さ約12メートル。
店舗にはオートスロープが設置されているので、お年寄りや高齢者の方も階段を利用せず屋上まで避難することができます。
また車いすも用意されていますし、従業員も定期的に避難誘導訓練を行っています」

そして東雲店では、帰宅困難者の一時避難場所にも屋上を活用することも想定していると塙さんはお話しされています。

「イオングループでは全国29ヵ所に、避難用大型テントのバルーンシェルターを配備しています。例えば、熊本地震の際も社会問題化した車中泊に対して、

店舗の駐車場などにバルーンシェルターを拡張させ、地域の皆様の一時的な避難場所を提供。
東雲店でも帰宅困難者が十分考えられるので、バルーンシェルターを避難場所の屋上に設置することが考えらます」

イオンといえば食料品から生活用品まで揃いますから、被災して物資がなくなってしまった際に、一刻も早い営業の再開が求められます。

首都圏で大規模地震が発生した際には、全国のイオンのネットワークを活用して、物資を集中的に首都圏に流れるように調整するそうです。
実際、熊本地震が発生した際には、多くの店舗で営業見合わせとなってしまったのですが、店舗の駐車場を使って店頭販売を行うなど早く営業を再開する取組を進めたそう。

防災の意識を高めるため、避難経路の確認などの際は近くのショッピングモールや商業施設をチェックし、どんな取り組みをしているのかを知っておくことも大事ですね。

災害は、家や職場に居るときに起こるとは限りません。

休日に遊びに行ったレジャー施設や、移動中の地下鉄の中で起こることも。あらゆる状況を想定して対処法を考えておくことは、決して無駄なことではないはずです。

地球温暖化Ⅱ

投稿日:2018年07月19日

歴史的経過

地球の気候に関しては、1970年代には「地球寒冷化」の可能性が取りざたされたこともあった。

しかしこの寒冷化説は根拠に乏しく、科学的に調べていく過程で、実は地球が温暖化していることが明らかとなっていった。

一般の間でも寒冷化説が広まっていたが、1988年アメリカ上院の公聴会におけるJ.ハンセンの「最近の異常気象、

とりわけ暑い気象が地球温暖化と関係していることは99%の確率で正しい」という発言が、

「地球温暖化による猛暑説」と報道され、これを契機として地球温暖化説が一般にも広まり始めた。

国際政治の場においても、1992年6月の環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)にて気候変動枠組条約が採択され、

定期的な会合(気候変動枠組条約締約国会議、COP)の開催が規定された。

研究が進むにつれ、地球は温暖化しつつあり、人類の排出した温室効果ガスがそれに重要な役割を果たしているということは、

議論や研究が進む中で科学的な合意(コンセンサス)となっていった。

このコンセンサスは2001年IPCC第3次評価報告書(TAR)、2006年のスターン報告、2007年のIPCC第4次評価報告書(AR4)などによって集約された。

問題提起から約20年を経て、その対策の必要性は国際的かつ学術的に広く認められるに至っている。

温暖化の主因と見られる人為的な温室効果ガスの排出量を削減するため、京都議定書が1997年に議決され2005年に発効し、

議定書の目標達成を目処に削減が行われてきた。

欧州では順調に削減が進み、目標達成の目処が立っている。

しかし主要排出国の米国が参加しておらず、また先進国のカナダが目標達成をあきらめたり、日本が削減義務達成に失敗しそうな情勢になっている。

途上国の排出量を抑制する道程も定まっていない。

その一方で、温暖化の被害を最小にするには、京都議定書より一桁多い温室効果ガスの排出量削減率が必要とされる。

2007年のハイリゲンダムサミットにおいては「温室効果ガスを2050年までに半減する」という目標が掲げられたが、

具体的な削減方法や負担割合については調整がつかず、2007年12月の温暖化防止バリ会議(COP13)においても数値目標を定めるには至っていない。

しかし、国際政治の舞台では温暖化問題あるいは温暖化対策が主要な議題とされることが多くなってきているのは明白である。

近年の気温の変化

様々な手法で得られた過去2000年間の気温の復元。右が現在

現在、地球表面の大気や海洋の平均温度は、1896年から1900年の頃(5年平均値)に比べ、0.75°C(±0.18°C)暖かくなっており、1979年以降の観測では下部対流圏温度で10年につき0.12から0.22°Cの割合で上昇し続けている。1850年以前、過去1000年から2000年前の間、地表の気温は中世の温暖期小氷期のような変動を繰り返しながら比較的安定した状態が続いていた。

しかしボーリングに得られた過去の各種堆積物や、樹木の年輪、氷床、貝殻などの自然界のプロキシを用いて復元された過去1300年間の気温変化より、近年の温暖化が過去1300年間に例のない上昇を示していることが明らかとなった(過去の気温変化の項も参照)。

気温の測定手段としては、過去の気温については上記のように自然界のプロキシを用いて復元される一方、計測機器を使用した地球規模での気温の直接観測が1860年頃から始まっている。

特に最近の過去50年は最も詳細なデータが得られており、1979年からは対流圏温度の衛星による観測が始まっている。

世界平均気温」については、都市のヒートアイランド現象の影響が最小限となるよう観測地点を選び、地表平均気温の値を算出している。

測定精度に関してはなお一部で議論もあるが、そのような誤差要因を考慮しても近年の温暖化は異常であり、気候システムの温度上昇は疑いようがないと評価されている

原因

地球温暖化は、人間の産業活動に伴って排出された温室効果ガスが主因となって引き起こされているとする説が主流である。

気候変動に関する政府間パネル』(IPCC)によって発行されたIPCC第4次評価報告書によって、人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は「90%を超える」とされる。

IPCC第4次評価報告書(AR4)は現在世界で最も多くの学術的知見を集約しかつ世界的に認められた報告書であり、原因に関する議論が行われる場合も、これが主軸となっている。

原因の解析には地球規模で長大な時間軸に及ぶシミュレーションが必要であり、膨大な計算量が必要である。

計算に当たっては、直接観測の結果に加え、過去数万年の気候の推定結果なども考慮して、様々な気候モデルを用いて解析が行われる。

解析の結果、地球温暖化の影響要因としては、環境中での寿命が長い二酸化炭素メタンなどの温室効果ガスの影響量が最も重要であるとされる。

この他、エアロゾル、土地利用の変化など様々な要因が影響するとされる。

こうした解析においては、科学的理解度が低い部分や不確実性が残る部分もあり、それが批判や懐疑論の対象になる場合もある

実際のところ、数億年前まで遡って考えると、二酸化炭素濃度は現在より圧倒的に高い。

しかしこのような不確実性を考慮しても、温暖化のリスクが大きいことが指摘されている。

地球温暖化

投稿日:2018年07月18日
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