海が蓄える熱、過去最大=地球温暖化が影響
投稿日:2020年02月20日
気象庁は20日、世界の海が蓄える熱エネルギー量の変化の分析をまとめた。蓄熱量は増加が続き、1955年をゼロとして計算すると、2019年は過去最大となる43×10の22乗ジュールを記録。地球温暖化の影響が海にも及んでいることを改めて示した。
この結果、海面から水深2000メートルまでの平均水温は、55年から19年の間に約0.15度上昇した。海水温の上昇は、台風の勢力を強めたり、膨張による水位上昇を引き起こしたりする可能性がある。
00年から10年ごろの気温上昇が鈍かった時期にも、海の熱量は増え続けており、同庁は「温暖化の監視に海の熱の把握は不可欠」と指摘した。
約40年で消費量半分に 「アメリカ人の牛肉離れ」の背景に何が
投稿日:2020年02月17日
関税率の引き下げに伴い、米国産牛肉の輸入が増加している。消費者にとっては価格が安くなって有難いかもしれないが、その一方で米国産牛肉の多くは「肥育ホルモン剤」としてエストロゲンなどの女性ホルモンを投与されて育てられているという現実がある。
家畜における合成肥育ホルモンの継続的な使用が安全であるかどうかについて、因果関係の立証は難しいが、EU諸国では肥育ホルモンを使用して育てた牛肉の輸入を一切認めていない。ボストン在住の内科医・大西睦子さんはこう語る。
「1970年代半ばから1980年代初めにかけて、プエルトリコなどで幼い女の子の乳房がふくらんだり、月経が起きるなど、性的に異常な発育が続出しました。その原因がアメリカ産の牛肉に残留した合成肥育ホルモン剤『ジエチルスチルペストロール』だとされたのです。そこで、アメリカでは1979年に、EC(現在のEUの前身)では1981年に使用が禁止されました。
ただし、同種の合成女性ホルモンは使用され続けてきました。そこでヨーロッパでは家畜へのホルモン投与反対運動が起こった。1988年に使用の全面禁止、1989年には合成女性ホルモン剤を使用したアメリカ産の牛肉などが輸入禁止になりました。最近では、女性ホルモンを多く利用・服用すると乳がんが増えるという研究データもあり、ホルモン剤の使用はさらに疑問視されています」
一方で、「アメリカ人も食べているわけだから大丈夫でしょう?」という素朴な疑問も浮かぶ。米国メディア日本特派員が話す。
「実は、アメリカ人も肥育ホルモン剤を使った牛肉を食べることを嫌って、どんどん“牛肉離れ”が進んでいるんです」
アメリカの食事といえば、ワイルドなステーキなど牛肉なくして成り立たないイメージがあるが、それは古い感覚のようだ。
「たしかに、かつては牛肉はアメリカで最も多く消費されていた肉類でしたが、それは過去の話。1976年に牛肉が肉全体の年間消費量のおよそ半分を占め、1人あたり年間40kgほど食べていた。しかし、2018年になるとそれが肉全体に占める割合は2割を切り、1人あたり20kgほどしか食べなくなっているんです」(前出・特派員)
たとえ牛肉を食べるにしても、選別が進んでいるようだ。
「アメリカでは牛肉に『オーガニック』とか『ホルモンフリー』と表示したものが売られていて、経済的に余裕のある人たちはそれを選んで買うのがもはや常識になっています。自分や家族が病気になっては大変ですからね。健康志向の人の中には、大豆など植物由来の『ダミービーフ』を使う人もいます」(ニューヨークで暮らす日本人商社マン)
ホルモンフリーの商品は通常の牛肉より4割ほど高価になるのだが、これを扱う高級スーパーや飲食店が5年前くらいから急増しているそうだ。健康志向を持つ人や富裕層といわれるハイクラスのアメリカ人は、とっくに肥育ホルモンの使われた牛肉など口にしないのだ。
ホルモンフリーの牛肉は高いが、体にいい肉を食べたいのは中産階級も同じ。昨年夏、日本にもある人気ファストフード店のバーガーキングが「インポッシブル・ワッパー」というメニューを発売し、全米で話題になったという。
「100%大豆由来の“ダミー肉”を使ったハンバーガーですが、値段は通常の牛肉のハンバーガーより1ドル高いだけ。味もよくて、知らずに食べたら気づかないレベルです。しかも、かじるとまるで血がしたたるようにジューシー。それでいて脂肪15%減、コレステロール90%減、というのがアメリカ人の胸に響いたようで、人気を集めています」(在米留学生)
このような「植物由来のダミー肉」はアメリカ国内の3万店舗以上のスーパーマーケットで売られている。バーガーキングのように通常の肉と比べて値段は少ししか変わらないとあって、若者や中産階級にも充分手が届く価格なのが魅力だ。市場規模は急速に拡大を続け、今年中に52億ドルに達するといわれている。
「大学のクラスメートと話していても、オーガニックミートの話はよく出ます。私はベジタリアンではないし、乳製品も摂らないヴィーガンとも違うけれど、やっぱりこちらの生活では意識しないと肉食が多くなる。がんも怖いし、積極的に取り入れています。“安い牛肉を食べるのはダサい”みたいな風潮すらあります」(別の在米留学生)
では、アメリカで大量に育てられているはずの肥育ホルモン入り牛肉はどこへ行くのだろうか――そう、ホルモン剤入り牛肉を食べさせられているのは日本人だ。耳を澄ませば、トランプ大統領の高笑いが聞こえてこないだろうか。まさに何も知らないのは、日本人だけなのだ。
「安くなった」と小躍りして子供たちにアメリカ産牛肉のステーキを食べさせている場合ではない。
PFASは人体に危険?特に子供は要注意!
投稿日:2020年02月17日
そもそもPFASとはどういうもので、今回の発表は何を意味するのか。新潟大学名誉教授で医学博士の岡田正彦氏に聞いた。
「PFASは、かつてはフライパンのコーティングに使用されるテフロンの製造過程で使われていたもので、水や汚れを防ぐ機能に優れていることからカーペットクリーナー、フローリングワックスなど、日用品にも広く使用されているものです。
この物質は人工的に合成されたもので、もともと自然界には存在していません。なかでも、長い鎖状につながったパーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルフォン酸(PFOS)の2つは、腎臓がん、精巣がん、膵臓がん、前立腺がん、乳腺がんのリスクを高め、また低体重児、甲状腺疾患、精子減少などのリスク要因になっている、とアメリカ環境保護局(EPA)が指摘しています。
世界各国の政府も使用禁止や用途制限の措置をとっているところですが、すでに広く環境を汚染してしまっていて、人の血液中からも微量ながら検出されるというデータがあります。
その代用品として合成されているのが鎖の部分を短くしたPFASで、人体からすみやかに排出されるため安全性は高いとされていました。しかし、紙コップなどからにじみ出しやすい上、一度飲料水などを汚染してしまうと除去が難しいことがわかり、人体にとってのリスクはむしろ高いのかもしれないと考えられるようになっています。
その危険性を訴えた『ポリ-及びパーフルオロアルキル物質(PFASs)に関するマドリード声明』という発表もあり、日本でも水質調査が行われるようになりました。その結果、アメリカの環境基準は下回っていたものの、国内の多数の河川でPFASが検出されているようです。
これらの物質が世界的な関心を集めている理由は、ファストフードの包装紙や紙容器に量の多寡にかかわらず含まれているという発表が相次いでいるからです。これまでの研究によれば、化合物の鎖の長さによる違いが大きく、また包装紙と食品が接触する時間や加熱方法などによっても生体への影響が異なるようです。
これは、特に子供への影響が懸念されています。子供はファストフードをよく食べる上、化学物質の作用を受けやすいからです。これまで、アメリカ食品医薬品局(FDA)は20種類の化学物質についてフライやドーナツなど油で揚げた食品の包装紙への使用を許可してきましたが、2016年1月に環境保護団体などからの訴えもあって3種類を取り消しました」
フッ素樹脂(テフロン)加工のPTFEとPFOAの危険性
投稿日:2020年02月16日
PTFE (ポリテトラフルオロエチレン)
PTFE (ポリテトラフルオロエチレン)とは
多くのフッ素樹脂加工で使われている物質をPTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene・ポリテトラフルオロエチレン)といいます。
摩擦係数が小さいという特性があり、多くのフッ素樹脂加工フライパンに使われています。
また調理器具以外にも、実際様々な分野で使用されています。
PTFEの危険性
高温になったPTFEは、有毒ガスを発生させることが報告されています。
フッ素樹脂加工をしたフライパンは230℃で粒子が発生し、360℃で有毒ガスが発生します。
このガスにより、「ポリマーヒューム熱」というインフルエンザに似た症状を引き起こす可能性があります。
ただし、加熱していない状態のPTFEの危険性はありません。
調理器具から剥がれたコーティング片を飲み込んだとしても、吸収されずそのまま体外に排出されるので、人体に影響はないとされています。
PFOA (パーフルオロオクタン酸)
PFOA (パーフルオロオクタン酸)とは
フライパンの表面にPTFEを接着する助剤として、PFOA(Per Fluoro Octanoic Acid・パーフルオロオクタン酸)が使われています。
これは自然界には存在しない、人工的な化学物質です。
PFOAの危険性
2005年、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)により、PFOAにおける危険性の深刻さが指摘されました。
その有毒物質は体内に蓄積され、ガンの発生や、未熟児、奇形児、免疫力低下などを引き起こす可能性があるとしました。
また自然界では分解されずに残留すると考えられており、有害物質として環境汚染が危惧されています。
この対策として、アメリカ合衆国環境保護庁は、2006年、世界の主要フッ素化学メーカー8社と連携し、スチュワードシッププログラムとよばれるPFOA自主削減プログラムを開始しました。
これは2010年までに95%削減、2015年までに全廃を目指すものです。
プログラムの内容は以下。
1) PFOA、もしくは分解してPFOAを発生する前駆体物質、およびC8より炭素数の多い類縁物質の、工場から環境中への排出量、製品中含有量の両方について、2010年に基準年比95%削減すること。
2) PFOA、もしくは分解してPFOAを発生する前駆体物質、およびC8より炭素数の多い類縁物質を2015年に全廃することに対する努力を行うこと(Working toward the elimination)を約束すること。
【フッ素化学メーカー8社】
デュポン(現ケマーズ)、3M/ダイネオン、旭硝子、ソルベイ・ソレキシス(現ソルベイ・スペシャルティー・ポリマーズ)、アルケマ、クラリアント(現アークローマ)、チバ・スペシャルティー・ケミカル(現BASF)、ダイキン工業