シロアリは家の床下など目立たないところに巣を作り、いつの間にか被害を拡大させていく住まいの大敵です。といって素人ではなかなか床下に潜り込んでシロアリがいるかどうか確認する、というのは難しいですね。
ところが、ほんの一時期、シロアリが羽アリとなって人目につくことがあります。それが気温と湿度が上がってくる今頃なのです。
そこで、羽アリを見つけた時にそれがシロアリなのか、害のないクロアリなのかの区別のポイントを紹介します。
◆日本のシロアリは主に3種◆
日本には主に、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリが生息していると言われています。このうち、ヤマトシロアリは公園の木製の杭や林道付近などでも普通に見られるシロアリです。
※この3種の他に奄美大島以南の南西諸島と小笠原諸島にはダイコクシロアリが分布しています。
イエシロアリはシロアリの中でも最も建造物や生立木に大きな被害を与えるシロアリで、家屋はそのままにしておくと倒壊する危険もあるほどの破壊力を持っています。
アメリカカンザイシロアリは、ヤマトシロアリやイエシロアリのような地下シロアリとは異なり、一生乾材の中で過ごします。アメリカカンザイシロアリが生息している木材の表面には直径2mmほどの孔が開き、そこから乾燥した砂粒状の分を排出するのが特徴です。
◆羽アリはシロアリが増えたサインかも?◆
シロアリの羽アリは、巣の個体数が多くなりすぎた場合や、巣が危険にさらされた場合に発生します。羽で風に乗り、別の場所に移動して巣を作るためです。羽アリを見かけたら、それはシロアリが増えすぎている可能性があるわけです。
その羽アリ、シロアリ? クロアリ?
しかし羽アリといっても、シロアリとクロアリがいます。クロアリはシロアリほど害を及ぼしません。重要なのはシロアリの羽アリを見分けることです。
見分け方は体形と飛翔する時季です。シロアリの羽アリは限られた一時期しか飛翔しないので、これを見過ごさないようにすることがポイントです。
【見分け方のポイント】
(1)シロアリは胴体にくびれがないが、クロアリは腹の部分がくびれている
(2)シロアリの触角はすっと伸びているが、クロアリは「くの字」に曲がっている
(3)シロアリの羽は4枚ともほぼ同じ大きさだが、クロアリは前の羽が後ろより大きい
(4)ヤマトシロアリは4~5月の暖かい昼前後、イエシロアリは6~7月の風のない温暖多湿な夕暮れから夜に飛翔する。クロアリは8月の蒸し暑い時季から肌寒くなる秋口に飛翔する
◆羽アリを見たら殺虫剤はかけない!◆
シロアリの羽アリを発見した! という場合、あわてて殺虫剤を散布してはいけません。殺虫剤から逃げ切れた羽アリが分散して、完全に駆除することが難しくなります。まずは見つけたら落ち着いて掃除機で吸い取ることが重要です。その後は専門業者に任せるようにしましょう。
この時季、家に甚大な被害をもたらすイエシロアリの飛翔が始まります。ぜひ見逃さないようにしましょう。